ブラインドサッカー「誰もが楽しめる観戦環境と、その先のTOKYOを目指して」

 アイマスクを着用してプレーする「ブラインドサッカー」について学ぶセミナー「ブラインドサッカー~誰もが楽しめる観戦環境と、その先のTOKYOを目指して」が6月28日、毎日メディアカフェで開かれました。
 2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、スポーツをもっと知ってもらい、支援する機会を設けたいと、「毎日アスリート・パートナーズ」と毎日メディアカフェがコラボした企画の第一弾です。毎日アスリート・パートナーズは、毎日新聞社と寄付サイト「ジャパンギビング」が運営する寄付サイトで、現在11団体が参加し、競技団体や選手支援のための寄付を募っています。
 講師は、日本代表前主将で、背番号「10」の落合啓士さんと、日本ブラインドサッカー協会(JBFA)広報チームマネージャーの、山本康太さん。毎日アスリート・パートナーズ担当で、毎日新聞社オリンピック・パラリンピック室委員の山口一朗が、司会進行を務めました。
 まずは「ブラインドサッカー」について、映像も使って競技の説明がありました。
 フィールドプレーヤーが4人、ゴールキーパーが1人で、ゴールキーパー以外はアイマスクを着用して競技に参加します。フィールドの広さは40㍍×20㍍で、サイドにはフェンスが設けられ、フェンスに当ててボールを操作したりします。競技時間は、前後半各25分。国際ルールが日本に上陸したのは01年で、02年10月にJBFAが発足しました。04年にはパラリンピック正式種目に加わりましたが、日本代表は過去出場経験がありません。
「シャカシャカ」と音の鳴るボールを使うほか、ボールを持った相手に向かう時は、プレーヤーは「ボイ」と声を出さなければなりません。また、敵陣のゴール裏には「ガイド」と呼ばれる役割の人がいて、ゴールの位置や角度、シュートのタイミングなどを、フィールドの選手に声で伝えます。「ディフェンスが2人ぐらいだと分かりますが、4人になると感じ取れません。そうした時にガイドの適切な指示が重要になってきます」と落合選手。音と声に感覚を研ぎ澄ます、高い集中力を求められる競技だから、試合中は静かに応援することがマナーだそうです。
アイマスクの着用が義務づけられていますが、障害の程度によって差が出ないように、目の上にアイパッチを張って、光が入らないようにします。ちなみに弱視の人が対象のロービジョンフットサルは、アイマスクは着用せず、ボールも音がしないものを使うそうです。落合選手は「ゴールキーパーだけでなく、国内では健常者がアイマスクを着用してフィールドプレーヤーとして参加することができる、ユニバーサルスポーツです。みなさんお待ちしています」と呼びかけました。
 落合選手は進行性の難病のため徐々に視力を失い、18歳で視覚障害者になりました。スポーツが好きで、25歳で始めたブラインドサッカーで、03年から日本代表を務めています。03年から06年まではゴールボールと両方で日本代表を掛け持ちしたそうですが、08年の北京パラリンピックを前に、ブラインドサッカーに絞りました。06年に南米アルゼンチンで開催された世界選手権で、サッカー王国のすごさを目の当たりにしたことが決め手になったそうです。「大勢の選手や著名人が会場に詰めかけ、観客も興奮していました。アルゼンチンがブラジルを下して優勝した翌日の新聞は、ブラインドサッカーの記事が1面を飾っていました。障害とは関係なくサッカーが好きなので、サッカーはすごいなと思いました。」と語りました。
 来るリオパラリンピックへの出場は逃しましたが、20年東京大会では、開催国枠で出場が決まっています。昨年新体制に代わり、心機一転、士気は上がっているそうです。
 「ロングパスは失敗の確率が高いので、ショートパスをつなぐことに取り組んでいます。7㍍間隔でパスをつなぐ。難しいですが、難しいことにチャレンジしないと、20年東京パラリンピックでは、メダルを取れないと思っています」と目標を語りました。 
 JBFAでは、毎日メディアカフェへの参加もそうですが、競技の普及と指導者、選手の育成に取り組んでいます。山本さんは「大会会場でのラジオ放送を使った実況中継など、誰が来ても楽しめる観戦環境づくりにも取り組んでいます。ぜひ大会をのぞいてみてください」と話しました。7月9日、10日の両日には、東京・調布市のアミノバイタルフィールドで、第15回 アクサブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権(JBFA主催)が開催されます。